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山行革命
山行革命
淡海
こんにちは、淡海(タンカイ)と申します。
山歩き、その道具類や考え方、精神論、野宿の方法、歩行禅から野グソまで「山は登るだけでは無い」事を色々書かせて頂きます。
本業、フリーライターです。

第四十五話 「羽毛服」

10/01/24

ピクチャ7.jpg こんにちは、淡海です。
本日は羽毛服についてのお話です。
フェザータッチで優しくお願いします。

体毛の薄いわれわれ人間は、寒さから身を守るために何かしらの衣服を着る必要があります。

温かいというのは、どれだけ"空気の層"を身体にまとうことができるか? ということです。
野性動物は体毛と体毛の間に動かない空気の層を作り、断熱しています。
風が吹くと冷たいように、動く空気は温度を下げ、動かない空気は温かいのでございます。
服の素材自体が保温を左右するのではなく、いかに多くの空気をためることができる素材かが重要です。

そういった意味で最高の保温材はやはり羽毛だと思います。
水鳥の胸の部分に生えてる綿毛をダウンボールと呼び、羽毛服のメインの断熱材に使います。
ただ、ダウンボールだけだと柔らか過ぎて膨らみにコシが出ないので、羽根状のフェザーを混ぜてふっくらさせます。
この比率は一般的には8対2ぐらいが最適だとされております。

山歩きの時、行動中に羽毛服を着ることはまず無いでしょう。
羽毛は湿気や水に弱いので、濡れると一気に2割ほどまで保温力が低下してしまいます。
汗をかく歩行中は着用しません。

休憩中や食事の時にサッと羽織ったり、キャンプ地に着いてからのくつろぎウェアとしての使い方が中心だと思います。

冬場、私はテント張る前に必ず羽毛服を着ます。
テントを張る作業で身体から発生した熱が羽毛に伝わり、張り終える頃にはポカポカとした状態で食事の準備に取りかかれます。
その後にピリッとスパイシーな物でも食べれば、羽根がさらに反響してヒートアップ。
羽毛服は自分の熱で語りかけると、包み込むような温かさで返してくれる、まさに生き物のような服だと感じます。

羽毛服も最近は超軽量、コンパクトな製品を多く見かけますが、果たしてウルトラライトな方面に走り過ぎるのはいかがなものか? と感じます。
ただ羽毛量を減らしただけのインナーダウンや、極度に軽量して耐久性に問題アリなダウンウェア......
山のコンディションによっては生命にかかわることなので、ウェアひとつにしても細心の注意をはらって我が命をあずけたいです。

私の勝手な判断基準ですが、山で使えて信頼できる羽毛服は、シュラフ(寝袋)メーカーの物が良いと思います。
モチはモチ屋。
スーパーでパックの焼き鳥を買うより、モクモクと煙る焼き鳥屋のお持ち帰りでしょう。
羽毛服はやはり羽毛を専門に扱うところが信頼できます。


【WESTERN MOUNTAINEERING】western-mountaineering.jpgm211126001-1.jpg北カリフォルニアの登山家が寝袋のブランドとして1970年に立ち上げたWESTERN MOUNTAINEERING。
私もここのシュラフを使っていますが、同じダウン封入量でも他社製品に比べて格段に温かいと感じます。
羽毛の質が良いのでしょうか、それなりに値段は張りますが、長い目で見ると間違いないと思います。
現在でもサンノゼの自社工場でコツコツと作り続けています。


【FEATHERED FRIENDS】splash2_01.jpgheliosbig.jpgこちらも1972年にダウン製品専門メーカーとして始まったFEATHERED FRIENDS。
今もシアトルの小さな工房にて手作業で詰めています。

最近、巷ではずいぶんとダウンジャケットもスマートになってます。
"デッドエア"を溜め込んで空気をまとうのに、空気量を減らしてタイトに見せるとは本末転倒のような気もします。
FEATHERED FRIENDSはこれでもか! と羽毛を詰め込んで、まるまると太らせてくれるマッチョシルエットの男羽毛。
下界と違い、見てくれは二の次。
山では性能の良いモノだけが強いという、実質主義の世界であります。
私はここのジャケットとベストは手放せません。

今回は羽毛ジャケットのお話でしたが、山で使うダウン製品は他にも、羽毛マットや羽毛まくら、羽毛パンツに羽毛のテントシューズなど鳥人間カスタムパーツがたくさんあるのでまたの機会にお送りできればと思います。

本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。

第四十四話 「暗殺!野糞作法」

10/01/13

vesal1555_digger_hi.jpg
『野』!
野山を駆け抜け、我草むらに消えん

『グ』!
グッと拳を握りしめ、菊の門戸を叩け

『ソ』!
空を見上げ、ひねり出すトグロは黄金の輝き

こんにちは、淡海です。
本日は野グソの作法についてです。
前回に引き続き、お食事中の方は嫌悪感を持たれると思いますのでご注意下さい。

登山用語で野グソは"キジ撃ち"と言います。
草むらから頭だけ飛び出している姿が銃でキジを狙う姿に似ているからでしょう。
女性の場合は"花摘み"と言います。
これらの隠語はいかにも上品で日本的ではございませんか。

野グソは野外における重要行為にも関わらず、アウトドア教書でもあまり取り立てられることがない項目です。
私はなぜなのかまったく理解に苦しみます。
発信する側の恥ずかしさや世間体があるのでしょうか。

その結果、山道の脇には見苦しく捨てられたテッシュペーパーが散乱しています。
そういう人こそパンツにウンコが付いています。
私は付いていません!

山は人為的な変化を求めません。
せめてインパクトを最小限にする必要があります。

まず、野グソをする時の必須アイテムはテッシュペーパーということになります。
無くても葉っぱで拭いたりもできますが、具合の良い葉がいつもあるとは限らず、冬は葉っぱすらありません。

テッシュペーパーはロール式が良いです。
芯が付いたままだとかさ張るので、芯を抜き取ってペシャンコにして持ち運ぶと良いでしょう。
また、ビニール袋に入れるなどしてしっかりと防水して下さい。
他に必要なモノは地面を掘るスコップとテッシュを消滅させるライター、そして野性に戻る魂です。

【野糞作法】
1.
朝食を済ませ、便意を感じてきたら野グソ道具を小脇に抱え、そそくさと歩き出します。

2.
周辺をリサーチし、出来るだけ茂みの奥へと入ります。
夏はスズメバチやヘビに注意して下さい。
川原の近くの場合は水質の汚染が懸念されますので、川から50mは離れたところを選びます。

3.
ここぞ!!という場所を決めたら手を合わせて一礼。
土がやわらかく、石や砂利が少ないところが理想です。
山では必ずしも平地でウンコできるとは限らず、斜面で用をたすこともしばしばあります。
その場合はつかまれる手頃な枝や切り株を握ってしっかり身体をホールドして下さい。
トイレットペーパーを引っ掛けるのにちょうど良い枝があると快適です。

4.
ウンコを産み落とすスポットを確認したら、そのまま一度しゃがんでみます。
膝の踏ん張りぐあいはどうですか?草や木の背丈は姿がうまく隠れますか?
僕、言ってることおかしいですか?
そして地面の石ころや枝、落ち葉などを取り除きます。
土が現れたら掘ります。
掘った土は前方へ山型に盛ります。
ウンコをするからといって何も和式便器のような形に掘る必要はなく、直径が20cmの真円で大丈夫です。
でっかいウンコが出そうな時は30cmに拡大でヨロシク!!
深さは15cm〜20cmほどにします。
これは土中のバクテリアが活発な領域の深さで、浅すぎても深すぎても分解速度が遅くなります。
  
5.
穴が掘り終わったら、労働の喜びに感謝。
いよいよパンツを下ろすのですが、夏の場合はまず蚊取り線香に点火します。
ウンコしてる時の蚊ほどやっかいな虫はいないです。
ひどい時は薮の中でケツを10カ所ほど刺されます。
ここで注意したいのは風向きです。
風のない時はケツの真後ろに蚊取り線香を置けば良いですが、風がある時は置く位置を考えてケツに煙が上手くかかるようにコントロールします。
冬の場合はケツが強烈に寒いのでパン!パン!と思いっきり腫れるぐらい引っぱたいて、その可愛いお尻に熱をもたせてやって下さい。

6.
股の間から下を覗き、掘った穴とウンコが落ちるスポットを微調整します。
かかとの先の間を結ぶライン上がウンコの落ちる地点です。  

7.
ゆっくり深く息を吸い込んで下っ腹から肛門に集中し、"コア"を溜めます。
ちょうど『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲をイメージして下さい。

8.
天より緑の光りが下り、ケツの周りに渦を巻いてきたら、もう一息です。
見えましたか!?核が!!
  
Big Shot Standing By!

Fire!

プゥゥゥゥ..ブッシュ〜ォォォン!!

モリモリモリモリ盛り〜!!

プスッ、ポスフォ!!


プトトト....プリッ......シュ〜。。。。。。。


産み落とした生命!
解き放たれる自我!

トイレでは無い所で脱糞する少しの罪悪感と、エネルギーを自然に送り還した大きな達成感が入り交じる。
そして肛門括約筋をニュートラルに抜き入れた陶酔感に思わず笑みがこぼれる。
  
この時にあなたは気付くはずです、いつもよりウンコが臭くないことを。
日常はトイレという密閉された空間で用をたすからあのような不気味な臭いを発します。
野グソは瞬く間にニオイを風にのせて運んでいきます。
それに加え、土や木、草などの香りにうまく溶け込み、"自然のニホヒ"と同化します。

あ、でもちょっと臭いかも知れないです。
やっぱりウンコは臭いということでお願いします。

この時、一緒にオシッコも出してスッキリしたいところですが、可能ならばオシッコは我慢して下さい。
理由は後で説明いたします。

夏はこの産み落とした瞬間に、どこから出てきたんだ?というほどの数のハエが一斉にウンコに向かって突進してきます。
ヒドい時はハエでウンコが見えなくなります(本当の話です)。
山のハエのハングリーさは平地と別物と考えて下さい。

長い時間、便と格闘していると、たまにフンコロガシ(糞虫)に遭遇することもあります。

【フンコロガシ】 センチコガネb0025008_21541387.jpg

フンコロガシというと、下級昆虫を想像されますが、センチコガネは虹色に輝いて見えます。

私が今出したウンコを一生懸命運ぼうとする姿に少し感動しました。
ルビーのように光る物体が自分のウンコを丸め始める。

最低の中に最高を見た思いです。
フンコロガシはもちろん和名で、『ファーブル昆虫記』の中では"スカラベ・サクレ"と表記されています。
"スカ"と付く単語はやはりウンコに関係があるのですね!

もういちいち番号をふって書いていくのが面倒になったので、そのまま書いて参ります。

発射したあとはお尻を拭きます。
拭いたティッシュはそのまま捨ててもほとんど土にもどりません。
化学物質が入っているので持ち帰るのが本来の姿です。
特定の地域や森林限界域などでは絶対に持ち帰らなければならない場所もあります。
しかし、クソの付いたティッシュを持って歩くと、私自身もクソなのでダブルブッキングしてしまいます。

可能な場所であれば燃やすという選択をとっています。
拭き終わったティッシュは、ライターで着火して消滅させます。
燃やす前に、もう一度枯れ葉や枯れ枝が周りにないか十分にチェックして下さい。

またティッシュは固くたたみ過ぎると燃えにくくなります。
燃焼には適度な空気が必要なので、テッシュをフワっとさせた状態でお尻を拭くのがポイントです。
燃え方が全然違ってきます。

完全に燃え尽きるのを確認したら、ここで我慢していた小便をブッかけて、確実に消します。

ウンコとオシッコの出すタイミングをずらす"糞尿分断法"をまだ習得されてない方はカップに消火用の水を入れてから野グソに出かけて下さい。
女の人は、そんな技使えるのかどうか知らないッス!

そして最後に穴の前方に盛った土をかぶせて、もとに戻します。
合掌。

最後に私の野グソ道具を紹介します。

DSC07112.jpg
【MIZO】 MUG (糞便用土壌破壊係長) 20gDSC07115.jpgピッケルなどを生産しているメーカーの野グソ用スコップです。
チタン製で軽量に作られています。
持ち手の部分にライターをビニールテープで巻き付けてカスタムしました。
掘った後はドラムのスティック回しよろしく、クルッと回せば着火態勢に入れます。
野グソだからこそ、スタイリッシュでありたいと思います。


本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。

第四十三話 「二〇一〇年」

10/01/06

art_culture_img04.jpg明けましてあめでとうございます!
淡海です。

一昨年、昨年と山ブームがこんもりと盛り上がってきまして、今年は最盛期をむかえることでしょう。
人民の大移動が繰り広げられます。

1924年、英国エベレスト第三次遠征隊員ジョージ・マロリーに記者は聞いた。

『なぜ、山に登るのか?』

マロリーは答えた。

『そこに山があるからだ。』

この問答の真意についての議論は今日でも繰り広げられていますが、私はこの議論を行なうこと自体、永久に真意は分からないと思います。
そこに山があるから登ってるだけなので、無かったら登らない。
美味しそう!これ食べる!
ただそれだけ。

では、今現代、なぜ多くの人が山へ登るのか?
それは世の中がつまらないからだ。

すべてが飽和状態の世界に人間としてのキャパシティがオーヴァーしてしまったのではございませぬか。
原生に帰化したい本能のシグナルがウー!ウー!鳴りまくってますよ。
脳が死んでしまう前に山へ入って、生物の均衡を保つことが必要です。
今年はぜひとも山歩に参りましょうぞ。

本日は以上です。
次回は『必殺!野糞作法』をお送りします。
今年もよろしくお願いします。
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