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山行革命
山行革命
淡海
こんにちは、淡海(タンカイ)と申します。
山歩き、その道具類や考え方、精神論、野宿の方法、歩行禅から野グソまで「山は登るだけでは無い」事を色々書かせて頂きます。
本業、フリーライターです。

第八十三回 『大岳山』 ー前編ー

12/01/24

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こんにちは、淡海です。
久しぶりに山へ野宿に行ってまいりました。
奥多摩にある大岳山です。

荷物の準備をすませ、家を出ててから駅まで歩くこと5分。
ヘッドランプの電池を忘れたことに気づき、また家に戻る。
電池をザックに入れ、家を出ててから駅まで歩くこと5分。

またもやハッと気づく。

今回、テントの中で読むための本に、
『世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ』(下山祐治)と、
『賢者の非常食』(小泉武夫)を選んだのですが、
『賢者の非常食』の内容が良くて、自分の手持ちの食料があまりに"常食"だったらどうしよう、
という不安が頭の中でグルグル回り、これはイカンとまた家に引き返し、
『ダンゴムシに心はあるのか』(森山徹)に差し替えました。
結果、間違いのない選択でした。

こいつアホか、と思われるかも知れませんが、わたしの山野宿の目的の半分は、
完全無音状態で本を読むためです。
ですから、食料や水と同様、本は重要であります。

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10:02

奥多摩駅着。
気温が2℃と、やはり肌寒かったので温かい缶コーヒーを飲んで出発。
登山口まで歩きます。

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飲み水は持ってこなかったのですが、その辺で飲めそうです。

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暗いトンネルをくぐり抜け、さらに歩くこと1時間半。

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12:19

登山口にある東屋に到着。
少し小腹が空いたので、行動食を取り出す。

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今年もお世話になります。
タータンチェックの貴公子、WalkersのSHORT BREAD。

気が遠くなるほどのパサパサ感、鼻腔を突き破るバター臭、
そして母の乳房にも似た柔らかい甘み......。

嗚呼......ジョセフィーヌ。香しき女よ。

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枯れた風景で旅愁を誘います。

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多少、凍ってるところもありますが、アイゼンは必要ありませんでした。

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13:11

三ツ釜の滝に到着。
文字通り、三段クッションになっている滝で、たいそうなものでした。

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さらに進む。
あまり人気のないコースなのか、他に登山者はいません。

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ちょっとした岩登りなんかも出てきて楽しいアクションです。

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14:06

大滝に到着。
滝壺の表面も凍っていました。

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氷を見ていると、なんとも美味そうな水だなあ、と思えてきたので3リットル汲みました。

水も豊富だし、早めにこの辺でテントを張ってもいいかな、と思ったのですが、
標識を見ると、

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と、書かれていたので進むことにしました。
ここで泊まったとしても、朝一で悪路スタートはきついです。

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たしかに、歩きにくい岩場で倒木が多く、悪路です。
でも、汗をかくこともなく、かといって震える寒さを感じるわけでもなく、意外と快適に登れます。

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しばらく進むと岩場から染み出る聖水が!

このバツグンな苔の張り付き、岩面からしたたる雫。
これは、まったく美味そうな水です。

氷柱をペロっと舐めてみる。


キィィィィィィィィィンンンンン......


〜寛政6(1794)年〜


(殿の〜おな〜り〜〜〜)


『その者。面を上げい』

「はっ!」

『本日の剣術試合、天晴れであった。名を申せ』

「はっ! 辻馬ノ助、天然宗心流免許皆伝にございます」

『なるほど。上段受けから胴への裁き、見事であった』

「有り難きお言葉を頂戴いたします」

『褒美を取らせよう。もう少し近こう寄れ』

「い、いや、、しかし」

『本日は無礼講じゃ』

「はっ!」

(ススス...)

『もうちょっと寄れ!』

「は、はっ!」

(スススス......)

『ほう。この上腕筋は見事な曲線美じゃ。胸筋の厚みはどうじゃ』

「あ、いや、、しかし、殿」

『んん? 胸のところに米粒が付いておるぞ』

「あ、これはお恥ずかしい。すぐに取り払います」

『待て! 触るな!』

「は!?」

殿の舌先が胸元の米粒へ、ゆっくりと近づいていく......。

「ちょ、、と、殿!」

『苦しゅうない! 苦しゅうないぞ!』

テロテロテロピ......。

『はっ、はふふぁ、、と、、、ととと殿ぉぉぉぉぉ!』

「実に甘美じゃ(ペロリ)」


キィィィィィィィィィンンンンン......


ぐらいに甘い水でした。

さきほどの滝の水を捨て、新たに汲みなおしました。
なぜなら、今日の夕食には美味い水が必要不可欠だからです。

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岩場を抜けると、雪がちらほら出てきました。
気温は0℃。
風はないので、さほど寒くありません。

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キャップの忘れ物が。
道沿いの切り株に引っ掛けておきました。
どなたか落としてますよー!

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頂上までもうすぐです。

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16:36

大岳山に山頂に到着。

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ちょっと曇ってますけど、いい富士山です。

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丹沢方面。

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しかも、最高のテントスペースがある。
今日の宿は山頂にこしらえます。

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Mountain Hard WearのSkyledge2.1。
もう5年ほどの付き合いになりましょうか、何泊も共にした同志です。


このカラーリングをみると、

Kamen+Rider+Stronger.jpg

ヤアッ!

いつもストロンガーを思い出します。

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17:18

天幕を張ったり、なんだかんだしてるとすっかり日も落ちました。
夕飯の支度をします。

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本日は、かねてからご紹介しておりましたガソリンストーブの点火式です。

いまの調理器具は、中高年を中心にガス燃料、ウルトラライト君たちの間では、
アルコールや固形燃料が主流です。
ガソリン燃料は、"重い、うるさい、めんどくさい、危険"と、端へ追いやられている現状です。

わたしは!
そういう道具にこそ光を浴びせたいのであります!

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ガスなんかは、スイッチポンで火がつきますが、ガソリンはそうはいきません。

まず、プレヒートという儀式が必要です。
プレヒートとは、タンクの中にある液体ガソリンを温め、気化させる作業です。

タンクのくぼみにアルコールを垂らします。
スポイトがあれば、直接ガソリンを垂らしてもいいです。

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点火。

火が鎮火するまでしばらく待ちます。
この間に、タンク内のガソリンの温度が上がり、液体が気化します。
おもしろいのが、温め過ぎると怒って火柱を上げ、
プレヒートが足りないとプスプスとひねくれます。

感情を持った生きている道具です。

タンクが十分に温まったら、バルブを少しだけ開いて噴出口に再び点火。

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バッスーン、ドルルルルル。。。

と、単車のエンジンのような轟音を響かせます。
火力もストロンガーです。

こんなにも力強く、男らしい燃料を使って何を食べたかったかと申しますと、

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湯どうふであります。

ガソリンという男根のようなバンカラ燃料で、湯どうふという、
おおよそエネルギーにもならない軟弱なものを食べてみたかったのです。

今回、わたしはこの"とうふを運ぶ"ということに頭を振り絞りました。
エベレスト登山隊が、地形や気象、隊員の体調などを細かくリサーチするように、
どのとうふが頑丈で、衝撃に絶えることができ、なおかつ美味いのか?
スーパーで調べ尽くしました。

まず、木綿と絹ごしの選定ですが、のどごしを考えると、絹ごしに軍配が上がります。
しかし、絹ごしは木綿と比べると、繊細で柔らかくて崩れやすいという欠点がございます。

すき焼きは木綿がいいけど、湯どうふは絹ごしが食べたい。
それでいきついたのが、西友ブランドの国産大豆絹とうふだったのです。

重要なポイントは容器と、とうふ本体の隙間です。
水に浸されてプカプカ漂っているとうふをよく目にしますが、
あれだとザックの中でとうふ本体が容器にアタックしてしまい、砕けてしまいます。

ですから、とうふ本体と容器が密着している、プリンのような密閉感のとうふがベストなのであります。

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バルルルル!
バルルルル!
と、うなり声をあげてます。

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沸騰するにつれ、プルプルと小刻みにとうふが震えます。

轟音とともに燃え盛る男。
その熱に身を委ねる白い肌。

これはまさに愛の営みです!
なんとも素晴らしい!

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さらに、友達のお父さんにもらった柚子胡椒をコンタクトレンズの容器に入れて持ってきました。
耳かき一杯の量でおどろく辛さのデス・ペーストです。

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ポン酢に浸して食べる。
気温はすでに0℃を切ろうとしていましたが、この寒空の中で食う熱々の湯どうふは、
極楽の極地であり、このまま天へ昇って飛び散ってもいい、とさえ思いました。
味覚が絶えきれず、頭がクラクラし、視界が歪みます。

とはいえ、これだけだと腹は満たされないので、

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鍋を開始!

ピーンと張りつめた無音の世界、湯気とともにハフッ!ハフッ!という息漏れだけが響きます。

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山では食欲が止まらない!
うどんも入れます。

食べる!食べる!食べる!

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7:08

寝るっ!

(つづく)

第八十二話 『二〇十二年』

12/01/01

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新年あけましておめでとうございます。
淡海です。
今年もよろしくお願いします。

上の写真は、ここ最近で一番おもしろかった本の表紙の一部です。
日の丸があるためでしょうか、なぜか"正月"を感じます。

淡い遮光、乾燥した空気感、平和を切り取ったような家族の後ろ姿、
日本を背負った男の狂気、1973年。
素晴らしいバランスです。

だから2012年はこの写真でスタートすることにしました。

本のタイトルもコメカミに熱した鉄棒を突き刺すようなインパクトがございますよ。
詳しくは、またの機会にご紹介させていただきます。

今年もおもしろそうな本をいっぱい探しますよってに!
どうぞお付き合いください。
次回もよろしくお願いします。

第八十一話 「名器」

11/12/31

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こんにちは、淡海です。

釣り師の大道先生が、

『これ、君に託すよ』

と、手渡された真鍮のロビンマスク。
年の瀬に、たいそうなものをいただきました。

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上部のカップを外すと、点火部が赤裸裸にむき出します。

コリンフレンチャー著のバックパッキング教典『遊歩大全』(1978)を読まれた方は、すぐにお分かりいただけると思いますが、SVEA の調理ストーブです。

先生が25年前、単車野宿野郎だったころに愛用していた名器だそうで、格別の味が染み出ています。
燃料は基本的にホワイトガソリンなんですが、単車のガソリン(赤ガス)でも使えるみたいです。

最近のガスカートリッジのストーブは軽くて、気温が低い所でもよく燃えるので、欠点などないのですが、このSVEAが持つ男根的な重く鈍い質感もなかなか魅力的でございます。
それに"ガソリンでつくった飯を食う"というと、芯が太そうでソソリ起つ男根を彷彿とさせます。

生命を工場から出荷する通過パイプの役割も果たす男根は、オスがもつ本能的な突撃性を象徴しております。
太くて硬いどっしり感、天高く伸びゆく躍動感、つまり男根は"正"のエネルギーに満ちており、地球の力を吸い上げる大樹です。
男の根っことして表記する男子の根底は、そもそも......

(2万字にわたる男根原論を展開しましたがdeleteキーで削除)

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わたしは、このストーブを眺めていて、どうしてもこれを使って食べたいものが見つかりました。
来年、SVEAの点火の儀式の際に食してみようと思います。

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先生のご好意で、UFOのイラストが入った収納袋まで付けてくださいました。
そのススで汚れたズタ袋は、わたしにとってこの上ない輝きを感じます。

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袋の後ろ側に『おはよう700 月ー金アサ7:00』。
この番組を調べてみると、1976年から1980年まで放送されたとあります。

袋まで先生の青春と同じ年代のものとは!

これはまさしく粋でございます。
そして、来年から朝は7:00に起きたくなりました。

いま、この文字をカタカタ打ってるうちに、部屋で流れているAMラジオが、

『あと1時間で2011年も終わりです』

と告げています。

本年も最後まで山行革命をお読みいただき、誠にありがとうござました。
来年は、ハッスルして野山を歩き、食べて、出して、眠りたいと思います。

それではみなさま、良いお年をお過ごしください!

第八十話 『棒ノ折山』ー後編ー

11/12/19

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前回は、"ドライマンゴー煮汁における味覚中枢の操作法"でしたが、後半はそんな話を一切やめます。

食後はゆっくり座って景色を眺めていました。
すると、そこへ大学生らしき3人組がやってきました。

『おおー!けっこう景色いいじゃん』
『メシにしようぜ、メシ!』

みたいな感じで、ハツラツとしており、さぞかし楽しそうでした。
3人のキャラクターは、胸板バリバリのマッスルくん、猫背で小柄なお猿くん、どぎついメガネをかけた博士くん、といった印象でした。

彼らも食事(3人ともカレーヌードル)をとり終わって休憩しているところに、これまた3人の老人登山客が近寄ってきました。

「すいません、写真を撮ってもらえますか?」

と老人たちが話かけると、

『ああ、いいですよ。』

と、博士くんがカメラを受け取り、構えた瞬間に、
わたしはハッとしました。

なんと、その3人の老人があまりにも学生3人にそっくりだったのです。

昔はマッスルだったであろうガタイの良さが特徴の老人、髪の毛が薄くなり、腰が極端に折れ曲がった猿顔の老人、ケントギルバート級のメガネをかけた老人......。

あれ?
違う。
ケントデリカットです。
ケントギルバートさんはサニックスですね。
メガネはケントデリカットでした。
ということは、元マッスル老人はチャックウィルソンでお願いします。

とにかく、その3人の老人を見て、

こんなことってあるのかね?

と、ポカーンとしてしまいました。

写真を撮り終えて、

「どーも、ありがとう」

と、老人たちはその場から離れていったのですが、学生3人も呆然としてお互いの顔を見合わせていました。

『あれって...俺たちじゃね?』

わたしも、やはりそうだよね!
と心の中でつぶやきながらマンゴー汁をすすり、しばらく学生たちの会話を聞いていました。

マッスルくん
『あれは未来からきた50年後の俺らなんだよ!絶対そうだ!
だって今日のこの日に棒ノ折山に登っているのを知ってるじゃん』

お猿くん
『そうだとしたら、なんで俺たちに未来からきたって言わないんだ?』

マッスルくん
『お前バカか。そんなことするとタイムパラドックスが狂うんだよ。』

お猿くん
『いや、狂わねーぞ。パラドックスが生まれた時点でパラレルワールドが発生するわけだから、そこから現実と並行して別の未来が進むんだよ。だから接触しても現実の未来に影響ねーよ』

マッスルくん
『だったら、お前あのじーさんたちに接触してこいよ!多世界解釈を証明できるんだろ?』

は、ははあああ!
近頃のボーイたちは、電脳社会といいますか、会話がハイパーでライトノベライズしてございますね。

むむっ......。

ここで博士くんが、革新的な独自のタイムマシーン理論をひっさげて切り込んでくるんだろうな......と思って博士くんに目をやると、
彼はハムを食べていました。
たぶん、プリマハム。
オーレイッ!

わたしは、ドライマンゴー煮汁を最後の一滴まで飲み干し、あたかも美味かったような顔をして、その場を立ち去りました。

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13:31
山頂からちょっと下った平地。
このあたりも、テント張れそうなところがけっこうありますね。
木が多いので、タープもよさそうです。
人気の山ですけど、冬はそこまで混まないようなので、いつかはお泊まりしたいと思います。

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帰りは飯能へと下るルート。
沢をジグザグに下りていきます。

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ちょっとしたロープを使うアクションシーンもあります。

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ゴルジュ帯を抜ける。
ゴルジュとは狭く切り立った岩壁にはさまれた谷のことで、日本では"のど"と呼ばれます。
ですから、山で道を尋ねたとき"のどを突っ切れ"と言われても、びっくりしないようにしてください。

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飯能ルートはハイキングコースながら、ダイナミックで楽しいです。
夏はかなり気持ちよさそうでございます。

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このへんの水もお土産にいただきます。

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14:10
名栗湖に下りる。
静かです。
この山々を眺めてもわかるように、紅葉の季節にもかかわらず緑の部分が多いです。
紅葉せずに不自然な緑でたたずむ樹木は、人が植えたものでございます。
人間は木でさえも、人工物に変えてしまう力があります。

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15:03
名栗の町並みを望む。
山と川に挟まれており、鉄道模型のジオラマのようで、いい雰囲気です。

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15:12
さわらびの湯に入る。
大きな湯船で極楽でした。
休憩所に、こち亀の115巻が置いてあったので、すこし読みました。

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17:10
帰りはすっかり暗くなってしまいました。
さわらびの湯からバスで飯能駅に向かいます。

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17:57
腹が減ったので、立喰いそば(イスあり)"奥武蔵"に入る。
強そうな名前です。

店内は、カウンターが1本通ってるだけのシンプルな作りで、(イスあり)。
看板の"立喰"を消してもいいのではないか?と思えますが、
そば屋は"立喰"と書かれているほうが、食欲をそそる気がします。

カウンターの中は、スキンヘッドでかっぽう着姿の老人がひとり。
他に客はなし。

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きつねそばを注文。
最初に汁をすすると、

(あれ?見た目に反して味が薄い)

足払いを喰らった。
失敗したかなあ、と思いつつ、きつねを口にふくむと、

(は、ははああ!こ、、これは味が濃いきつねだ)

なるほど。
汁は薄めだけど、きつねの味付けがかなり濃い。
これは意図してか?偶然なのか?
素晴らしいアイデアだと思いました。

なぜなら、汁の濃い関東のそばは、なかなか汁を最後まで飲み干すにいたりません。
汁物のどんぶり鉢は、ググーッと飲み干し、底が見えた瞬間に満足感を得られるものだと思います。
この、きつねの噛みぐあいで濃淡をオペレーションできる食べ方は、濃度をきつねに委ねているので、汁はさっぱりしています。

だから、汁を飲み干したあとの爽快感は、"マッハ文朱のすこやか達人倶楽部"で紹介している健康法を実践して得られる爽快感と同等のものか、それよりちょい高いぐらいです。



棒ノ折山。

山頂までのルートは3〜4本あって、バラエティに富んでおり、軽いハイキングコースなところもあれば、壮大なゴルジュも待ち構えています。
都心から近く、歩行時間も短く、それなりのアスレチック感があり、水場も多し。
そして、下山後には素晴らしい温泉まであります。

これほどの好条件がそろった山は、なかなか珍しいです。
それだけに、休日は混み合う人気の山でありますが、
その人気の山からいかにして死角を探し、野宿スペースを見つけ出すか?
というのが非常に面白いのであります。

わたしは、今回テントが張れそうだった場所を地図に赤ペンで×印をつけました。
そこに野宿爆弾を落とすのが楽しみであります。

みなさま、それでは素敵なクリスマスを!

本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。

第七十九話 『棒ノ折山』ー前編ー

11/12/06

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こんにちは、淡海です。
今回は奥多摩のキング・オブ・ハイキングロード、棒ノ折山へ行ってきました。
皇太子殿下が登られたことでも有名なこの山は、都内から1時間ほどでアクセスできます。

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10:03
青梅線川井駅で降りる。
無人駅で、まわりは自動販売機が1台あるだけでした。
天気は曇り空。
気温は生ぬるいです。

棒ノ折山のコースですが、ここ川井駅から上日向までバスで行き、急登ルートを登りつめるコースと、飯能から沢を登るコースと、大きく2つに分かれます。

沢を登るコースのほうが絶対におもしろいですが、飯能側に降りて温泉に入りたかったので、川井からのコースに決めました。

バスの乗客は、老婆が1名、山の自然を整備するレンジャー2名、あとは、わたし。

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10:36
登ります。
棒ノ折山は、いたるところで水が流れているので、飲み水に苦労しません。

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ワサビ畑がありました。
ということは、水がきれいということでございます。
ワサビの葉をビニール袋に入れて、醤油もみにして食べると、さぞかし美味いことでしょう。

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11:11
見事な苔が生えています。
苔は素晴らしい天然の濾過器です。

ということは、水がきれいということでございます。
わたしの体験ですと、苔が生えててカエルがいる所は、水が美味いです。

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東京の山の水は、生では飲めない、なんてことを言われてますが、
そんなことないです。

少なくともわたしは、腹を壊したことが一度もありません。
この岩場から流れ出る水なんて、岩肌に口をくっつけてすすると、それは美味いです。
さっきから美味いしか書いてませんけど、美味いんです。

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やがて、植林帯が出てきて急登が延々と続く。
"第二の風"もなかなか吹かず、けっこう苦しいです。

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12:18
ただただサディスティックな登りが続き、いつの間にか山頂前。
12月といえど、汗でボトボトです。
川井駅からのコースは最短ですが、しんどくて面白みに欠けます。

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山頂正面。

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左。

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右。

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12:32
お腹が減ったので、昼ごはんにします。
写真は食事用のチタンのフォークと、うんこ穴掘り用のチタンのスコップです。
朝、山で野グソするのを楽しみに家を出たのですが、がまんできずに駅で出してしまいました。

無念!

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グツグツグツ......
前日の夜から、どうしても中華そばが食べたかったので、持ってきました。
ラーメンではダメです。
あくまで中華そばなのです。

魚介ダシが決め手?

NO!

濃厚背油とんこつ?

NO!

中華そばたるものは!
愚直な醤油味にあり!

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ぶっといチャーシューとメンマも奮発しました。
欲をいえば、ここに渦が巻いたナルトと、茹でたほうれん草がのってれば、エクセレントだったのですが。
それにしても、中華そばはたまに食うと美味いです。

食後にコーヒーを飲もうと思い、ザックの中の食料コンテナにアクセスする。

ガサゴソガサ...

ない。

ガサガサッガサゴソ、ガササ......

ない。

ガサッ、ガササササ、バサッバササー!

コーヒー!
ない!

忘れてきました。
ないと分かると、余計に飲みたくなるのが心情。
わたしはコーヒーホリックなので、右手の薬指が小刻みに震え、
左の奥歯がカタカタと鳴り響きました。
なにかしら飲まなければ死にます。

ザックをひっくり返してみると、手持ちの食材は、

● スニッカーズ
● ドライマンゴー

以上。

スニッカーズをお湯で溶かして、ホットチョコレート的にするか?

口にインパクトを与えるという意味では、いいかも知れない。
いや、やはり中のピーナッツが邪魔をして、茹で豆汁みたいなことになり、悲惨な事態を招く恐れがある。
見た目も、下痢のうんこにコーンが混じったビジュアルになりそうだ。
しかも"お腹が空いたらスニッカーズ"なので、飲んではいけないかも知れない。

ドライマンゴーをお湯でもどす?

そういえば野宿の時、寝る前にドライフルーツを水に漬けておくと、翌朝には缶詰の果物のように美味いデザートができ上がった。
その要領でいくと、お湯でもどしてフレーバーティー的に作り上げることができるかも知れない。

悩む。

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後者を選ぶ。
ドライマンゴーを1枚だけかじり、あとは全部投入しました。

沸騰した頃合いをみて、ひとくちすすってみる。

まずい!
臭い。
タンスに入れてる防虫剤のにおいがします。

がまんして、もうひとくち。
やはり臭い。
甘いドライマンゴーなのに、なぜこんなことになるんだ?

少し時間をおいてみる。
どれぐらいまずかったっけ?
と、またもや口をつけてみる。

おお、やはり臭いですな。
逆に、このまずさに親近感を覚えます。

もう少し時間を待って、再びトライ。
かはっ!
さっきよりまずい。
もはや、このまずさが可愛くなってきました。

また、ひとすすり。
うん、安定感のある臭さ、このまずさ。
慣れというのは怖いもので、まずいがふつうになってきました。
ある意味、一周まわって美味くなってきた気さえします。

果肉をかじりつつ、もうひとすすり。
ドロドロの果肉も、もれなくまずくなっている。
これは貴重だ。
貴重ということは、珍しいということなので、美味いと錯覚してきた。

さらに果肉を噛みちぎり、煮出し汁をすする。
なんて、まずい汁だ。
こんなのはじめてだ!
誰も作ったことのない、自分だけの温かい飲みものは素晴らしいぞ!

素敵なマンゴー汁。
いいぞ、いい響きだ。

もっといっぱい欲しいぞ!
これ、お腹いっぱい飲みたい!

誰か、おかわりください!
お代は払います!

と、脳にある味覚中枢を意識して操作し、まずいを美味いに変えるマインドコントロールに成功しました。


(続く)

第七十八話 『登山ノ手帖』

11/11/15

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こんにちは、淡海です。
たまにはまっとうな山の本を紹介しようと思い、栗林一路さんの本にしました。

もとい!
装丁はまっとうな山の本でも、中身は正気の沙汰とは思えない素晴らしき内容であります。
栗林一路さんは、あまり知られていないマイナーな山の随筆家ですが、そのマッドな文体は読む者をグイグイ引き込んでいきます。

『バックパッキング』、『中年からの山歩き入門』などの名著がありますが、本日はとりわけマニアックな『写真 登山の手帖』(1960年/社会思想研究会出版部刊)をご紹介させていただきます。

表紙を見て、よくある山の写真本だなあ、と思いつつ手に取ったのですが、中を開いた瞬間に、栗林宇宙が存在しました。

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な、なんだこれは!
大胆にはめ込むカットアップ&コラージュの写真に手が震えました。

ちなみに、このキスリングという横長のバックパックは、今はほとんど見ないです。
現在のバックパックは計算された設計で、背中全体に荷重を分散させるシステムになっているので、快適に背負うことができます。
しかし、このキスリングは肩にダイレクトに荷重がかかるので、ギリギリと拷問のように人間を締め付けます。

まさに、昔の日本人が強く持っていた忍耐という言葉を具現化した試練の背袋でございます。
それにしても、このSP1200よりも荒い質感の写真は素晴らしいです。

yama7.jpg道具類。
バーナーは、おそらくホエーブスでしょう。
ランタンや水筒、山日記の他に、うちわを装備してるのが渋いです。

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1960年当時の山小屋の風景。
山ガール?
女子供は山へ近寄るな!
的な汗とタバコと酒の臭いが立ちこめる山男の世界。
ザラついたモノクロの写真が山小屋を戦地に見立てます。

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これは昭和35年頃の登山のマジなスタイルです。
ツイードのジャケットにカモシカの尻皮、ニッカーを穿いた足元は名門タカハシの折り返し靴。
当時はこれがトッポい山野郎だったみたいですね。

ラーメンやカレーライスを見ても分かるように、日本人は海外の文化を取り入れて、それをローカライズさせることに長けた民族であります。
輸入したものが日本版になり得る時に、素敵に屈折した形で完成するのではないでしょうか。
ただただ、欧米のモノマネをするよりも、上記のようにすっとんきょうなジャパニーズ山登りスタイルを見直してもいいかも知れません。
今だとちょっと変人扱いされるかも知れませんが。

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いくぜ、ユージ!

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OK、タカ!

バキューンッ!

キュイーン!

パーン、パーンッ!

ピキューンッキュイーン!

カチャッ、バキューンッ!

ザッササッ、カチャッ、バーンッ!

キュイーンッ、パアアアン!

ズササーッ、バーン、スチャッバーン!

ガンッ、バキュィィンン!


ハッ!......
完全に頭の中で銃撃戦がはじまってて、危うくこのまま4万字ぐらい撃ち合いを続けてしまうところでした。
いかん、いかん(ポカリッ)。

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1960年代は、焚き火が近すぎます。
本文では、
"火は私たちを原始に引きもどし、大胆な情熱家にメイク・アップする"
と書かれています。

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最後はサントリーウイスキーで一杯やって、寝袋にもぐりこみ、至福の時間をすごします。

本の内容についてはあえてふれませんが、とにかく栗林さんの文体は平穏な雰囲気で読み進めていると、急に首元にカミソリを突きつけるような鋭いフレーズが襲ってきます。
このヴァース・コーラス・ヴァースな形式がクセになるので、古本屋でみかけたら、ぜひ手にとってみてください。
他にもかっこいい写真がいっぱい載ってます。


本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。

第七十七話 「日本縦断本」

11/10/19

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こんにちは、淡海です。
今日は本です。
『ニッポン縦断歩き旅』です。

私は、日本縦断の本というのが好きです。
この手の本は、古本屋で安く売られているのでよく買います。
ポイントは世界縦断はダメで、あくまで日本縦断です。
世界一周や世界縦断の本も多数ありますが、わたしにはちょっとスケールが大き過ぎます。
日本縦断は読みながら、いい具合に感情移入できるサイズでございます。

『よし、今日は熊本県を通過するまでを読もう』といったかんじで、
寝る前にチビチビ読むのが、なんともいいです。
毎晩、自分自身が冒険をしているようで、充実感いっぱいで眠りにつけるのであります。

さて、『ニッポン縦断歩き旅』ですが、これは日本縦断モノのなかでも、かなりの上玉です。
著者は、クレイグ・マクラクランという外人さんなのですが、最初は、
"さあみなさん!外人目線で日本を見つめなおすので、現代人が忘れてしまった真の母国を取りもどしてください!"的な、作られた美談で塗り固められたドブの臭いがする本かとおもったのですが、
まったく違いました。

まず、クレイグさんは文句を連発します。
腹減った、足痛い、眠い。
外人だからといって民宿に泊めるのを嫌がられるからムカつく。
学校帰りのガキがうるさい。
嫁に会いたい。
などなど。

日本縦断ですから過酷なのはとうぜんですが、とにかくグレートに毒吐きを連発します。

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ブシューッ!!

うわー!!これは目にしみる!

さらには、
外人だ!と珍しがって寄ってくる田舎の人たちを完全にシカトしたり。
本当は日本語ペラペラなんだけど、めんどくさいからと喋れないフリをしたり。
出会った女性の乳ばかり見たり。
ハゲ頭のおじさんをバーコードって呼んだり。
足が痛くなると酒を麻酔薬がわりに飲みまくったり。

その表現がなんとも誠実で狙ってる感がゼロなのでございます。

あと、やたらと地方のスナックに行きます。
ここでもガンガン飲みます。
飲みまくります。
酔って、もう歩くのやめて帰ろうかなと何度もグチります。
あげくの果てに、スナックのママの娘を連れて帰ろうとしてママに叱られます。

この本の表紙にあるストイックそうなクレイグさんの姿から、
これほどの暴君ぶりがどこに感じられましょう!
まさに歌舞伎者です。

私は、なんと感情をストレートに書きなぐった日本縦断記だ!と興奮しました。
そして、日本、外国うんぬんより、人間的であることに重きをおく価値観に感動しました。
きれいごとを一切抜いた剥き出しの文章は、読んでて気持ちよかったです。

もちろん、胸にグッとくるシーンも随所に用意されていますので、ご安心ください。
最後は栄光のゴールとなるのか?
それは読んでからのお楽しみです。

実は、わたしも死ぬまでに日本を歩いて縦断したいという夢があります。

本日は以上です。
次回は、さらにパンチの効いた本をご紹介させていただきます。
よろしくお願いします。

第七十六話 「大山(後編)」

11/10/03

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前回の大山の続きです。
霧が濃くなってきたので、昼ごはんを食べて12:00には下りました。
帰りは雷ノ峰尾根を歩こうとおもったのですが、土砂崩れで通行止めとのことだったので、ヤビツ分岐から富士見台を通る道にしました。

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12:17
天狗の鼻突き岩に到着。
こぶし大の穴が空いた岩です。
文字通り、天狗の鼻で空いた岩らしいんですけど、天狗はここでなにをしてたんでしょう?
天狗は悠々と空を飛び回って、高笑いしているイメージがありますが、けっこう山の中で暇なのかもしれません。

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12:28
根っこです。
木って一般的に『樹齢○○年、おおありがたや』と天高くそびえる姿に自然の力を見出して崇めますが、わたしはこの根っこに力を感じます。
この根っこというものは、何年もかけて土をえぐりながら突き進み、複雑に入りくみ、己の体を固定し、大地の養分と水分をゴクゴク吸い込む生命維持の触手だとおもうと興奮するのでございます

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子鹿がいました。
かわいいです。
5分ぐらい見つめ合いましたが、走って逃げていきました。

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12:42
霧の切れ目から少し展望が開けました。
たびたびハイカーが足を止めて眺めています。
ARC'TERYXのハードなシェルを身にまとった団塊の世代もいれば、ニッピンのザックを背負ったわんぱく坊主がいたり、Patagoniaのかわいいニット帽を被った老婆もいれば、豆しぼりの手ぬぐいを首に巻いたギャルもいます。
山ほど老若男女がブランドの隔たりなく服を着ている場所はないのではとおもいました。

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13:20
大山阿夫利神社に到着。

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湘南、江ノ島方面の町並みを見渡せるいい神社でした。
ヘッドランプ付けてナイトトレッキングで来れるなら、最高の夜景を堪能できるとおもいます。

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大山は山岳修験の山で、山伏いるところに天狗ありです。

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本堂脇にあるお炊き上げの煙を存分に浴びます。

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その横には名水入り口です。

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中に入ります。
なんとなく神秘的な空気です。

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豪華絢爛な水場がありました。

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龍の口から流れでる水は輝いて見えます。
一杯いただきました。
うまい、たしかにうまいです。
ご神水ですのでそれはありがたいです。
が、わたしはやはり、人の手で丁寧に誘導されていない、山の岩と苔の間から湧き出る粗野な水のほうが好きです。

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神社の階段を下り、茶屋でかき氷を所望する。
『かき氷は甘いから塩気もあげるよ』
と、葉とうがらしの漬け物もいただきました。
かき氷、葉とうがらし、ほうじ茶のトライアングルは、レトロなテーブルと相まって、奇妙なノスタルジーを感じました。

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茶屋の表には背負子がありました。
毎日、店で出たゴミや空き缶を背負子に積んで山を下るらしいです。
なるほど、茶屋で働くおばあさんたちは元気です。

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老師!
お久しぶりでございます。
『うん、苦しゅうない』

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彼岸花が咲いてました。

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さらに進むと土産屋の通りがあります。

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土産屋ってなんでこんなにテンションが上がるのでしょうか。

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とくに買うわけでもないのですが、楽しいです。

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とうふ坂。
実は今回、この地味な坂がいちばん気に入りました。
案内板によると、このあたりはとうふが有名で、江戸時代より参拝者たちがとうふを手のひらに乗せて、それをすすりながらこの坂を登ったそうです。
手のひらに乗っけたとうふにちょこっと醤油でもたらしてくれたのでしょうか。
とうふをすすりながら、山を登っていく姿を想像しただけでも、ワクワクします。
どうかその素晴らしい光景を復活させてほしいとおもいました。

下り終えると、ひとっ風呂浴びたくなったので、歩いてたおばさんに温泉の場所を聞きました。
『東學坊がいいよ』
とのことで、そのネーミングに若干の重さを感じつつも向かいました。

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14:40
東學坊。

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なんか身の引き締まる名前です。

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なかは趣たっぷりで、やわらかい雰囲気の女中が応対してくれました。
外湯と中湯、どちらか選んでくれと言われたので、迷わず外湯にしました。

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建物の裏手へ出て、橋を渡ると外湯です。

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誰もいない。

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こじんまりとした湯船でしたが、清流の音と鳥の声がクロスオーヴァーするたいそうなお風呂でした。
ときおり舞い落ちる木の葉がなんとも哀愁ただよってました。

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最後に、晴れてると大山はこんな清々しい眺めのようです。
1時間半ほどのお気軽なハイキングコースの割に、壮大な景色が堪能できるとおもいますので、機会あらばぜひ足を運んでみてください。
これからの紅葉の季節は、最高だとおもいます。

本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。

第七十五話 「大山(前編)」

11/09/22

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こんにちは、淡海です。
久々に山へ歩きに行ってまいりました。
今回は、神奈川県のキング・オブ・ハイキングロード、大山です。

急に思い立ったので、とくにこれといって準備はしてませんでした。
朝起きてから手当たりしだいにザックへポンポンとモノを放り込んで、家から飛び出しました。

今までは目的の山について、ネットで下調べをしてルートを探ったり、頂上の様子を確認したりしていたのですが、もうやめました。
なんだか他人の歩いた行程をなぞるだけの山はおもしろくないと感じたからです。

たとえば、頂上に着いた感動にしても「ネットの写真で見たとおりいい景色だ」で、終わってしまうのはあまりにも無味乾燥なるものです。
自宅のパソコンから脳みそを山へ先行させて、あとから現地へ体を運ぶという脳体分離登山から人類を救うべく!立ち上がりたいとおもいます!

集え!
山行者よ!
IT登山に法の裁きを!
未来の子供たちに夢のある山を!

タン、ターーン!(銃声)

ドサッ......

あ、すいません。
ついアレしてしまいました。
とにかく、あまりセーフティになりすぎず、多少は先が読めないドキドキ感を楽しむのもいいんじゃないでしょうか。
たとえ草がボーボーで何も見えない頂上だったとしても、わたしは虎丸龍次のように笑いながら屁をこきたいです。


(ピシューンッ!)


朝、5時半に起床。
小田急で小田原行きの電車に乗り、7:55に秦野駅着。
コーヒーを忘れたので、駅に隣接したスーパーでインスタントコーヒーを買う。
8:18のヤビツ峠行きのバスに乗りました。
平日だというのにハイカーで満席。
50分ほど立ったままバスに揺られました。

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9:01
ヤビツ峠着。
今回は日帰りなので、荷物は軽いです。
すこしストレッチをして、水道水を1.5リットル補給。
中年のハイカーにまじって、いま流行の山ガールなる生態も確認。
驚いたことに、単独行ガールが2人もいました。
なんと、世のハイキングロードはこういったことになっているのか。
遠い昔は、女が独りで山を歩くなんぞ、さぞかしワケありとされていたそうですが、オープンな時代になったものでございます。

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出発地には広場。
ああ、この地形の丸さ。
野宿したいです。

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9:25
歩行開始。
山を歩くのは、かなり久しぶりだったので、あり得ないほど息があがる。
セックスのときより、10倍は息が荒いです。
ハードな山ではなく、ハイキングロードにしてよかったと思いました。
やはり、山は1ヶ月ずつでも定期的に歩かないと、体がおもうように動かず、ポンコツになるようです。

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行政がご丁寧に作ってくれた丸太の階段を歩きます。
ところで、有名な山やハイキングコースでよく見るこの丸太、わたしは必要ないと思います。
なぜかといいますと、丸太の間隔が1歩で歩くには広く、2歩で歩くには狭いのです。
丸太が敷かれている道のほとんどがそうで、これは非常に歩きづらい。
しかも、雨のときは木の表面がヌルヌルして滑りやすく、冬も凍結してスリップします。
さらに、山に来てまで人が作った道を歩く、体で自然を感じていても足裏が人工物に乗っかっている、というこの嘆かわしさよ。
みたいなことを考えながら、進みました。

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9:42
歩きながら、はたと横を見ると、霧におおわれてきた。
晴れた山もいいですが、この霧でボヤける山もいいです。

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10:21
もうゴールが見えました。
山は、歩きはじめの20〜30分はあれこれいろいろと考えながら進みますが、それ以降は無心です。
たぶん、じぶんの体を進めることに全神経を集中しているのでしょうか、頭が完全にパアになっているとおもわれます。

日常のマルチタスクな処理がメインの思考回路から離れ、"歩く"というシンプルな行動だけで脳をフル稼働させる。
これが山を歩く爽快さの理由のひとつだと気付きました。

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10:22
一礼して鳥居をくぐります。

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見事に眺望は霧で白。
もういい時間なので、ここで昼ごはんにします。

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前回、さんざん棒ラーメンの魅力を申しあげたところですが、本日はカップヌードルの"オニガリ"です。
棒ラーメンは、家で食べすぎたので飽きました。

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そして、もちろんこいつら!
からあげくん(レッド)です。

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いやぁ、もうほんとこいつにはかないません!
久しぶりに、のどごしレポートで参りましょう。

まず、からあげくんのパッケージを開けると、目に飛びこんでくるのはその色彩。
やや赤よりのオレンジといいますか、これがまた絶妙なカロテンカラーなのであります。
赤すぎると嘘くさい"辛"な感じがしますし、黄色よりだとパンチに欠ける。
この"やや赤よりのオレンジ"という色だけで、わたしは米が食べれそうです。

そして、この可愛らしい大きさ、なんということでございましょう!
5個も入っております。
紙パッケージに突き刺さったスタイリッシュな爪楊枝で、からあげくんをブスリと刺します。

まずは芳香を味わう。
おお......なんと香しい、ジョゼフィーヌ。

鼻の粘膜をかすめる衣の香味をおびた風香は食欲をあおり、さらに辛味成分であるカプサイシンの分子が嗅神経を刺激する。

耳下腺...顎下腺...舌下腺......そう、いいぞ。
唾液腺が総出で、唾液の生成を開始するとともに、胃袋内部では胃酸のコックを全解放し、急ピッチで酸水を放流させる。
胃袋が四方八方へウネりながら収縮し、脈動しながら食物を受け入れる体制に入った。

一方、わたしはというと、十分に香りを堪能し終え、おもむろに口に肉塊を放りこむ...。

ファーストインパクト!

「な、なんだこれは...やべぇ!ひ、冷めているのにうめぇ!犯罪的だ!」

買ってから数時間が経過しているため、熱を失った"赤玉"だったが、その失った熱をカプサイシノイドという"辛み"が補い、あたかも熱いような擬態を演じている!
なんちゅう役者魂や!
その粘膜から吸収された"辛み"は血流に乗り、中枢神経の受容体に集合。

キーンコーンカーンコーン......

先生「それでは、今日は転校生を紹介する」

赤玉『はじめまして、"赤玉"といいます。よろしくお願いします』

生徒たち「お、おお〜!!!都会の女っだっぺよ!」

県立中枢神経高等学校に転入してきた紅一点、"マドンナ赤玉"に、アドレナリン(生徒)たちは騒ぐ。
まさにジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ。


あ、すいません。
何を書いてるのか分からなくなってきました。

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オニガリ(オニオン&ガーリック)はといいますと、こちらもラー油が入り、辛味が主体のヌードルです。

待てよ、どっちも辛いということは、

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こういうことだ!
赤玉ポチャーン!

ズル〜、ズルズル〜!
カプッ、プリ...モッチャモッチャ。。
ズズ...ズズズ......。
いやっはあ〜!まったく辛くてうまいです。

ズルズル〜ズルルル〜!
おー、辛いです。

ズズ...ズルズルズル〜ッ!
しかし、うまいですなこれは。

ズルズル、シュルチパッッ。
熱い〜!見てください、この汗。
とまりません。

ズ...ズルルルッ...ズルッ。
これは辛いのかうまいのか、いよいよ分からなくなります。
それにしても、うまい。
さすがに辛いですね。
辛いかうまいかどっちか選べって言われると、悩むところなんですけど、
そうですね、うまいにしましょう。
うまいでお願いします。
もちろん、うまいの中に辛いも含まれてます。
見てください、この汗。
ほら、もっと見てください。

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食後にコーヒーと、東ハト"オールアップル"をかじりました。

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今日のコーヒーは、駅のスーパーで買ったスターバックスの粉コーヒーです。

野外でドリップしたコーヒーを飲むほうが、とうぜん風味がいいんですけど、めんどくさいです。
その手間を楽しむのがいいのでしょうか?
わたしはそこまで味の分かる人間ではないので粉でいいです。
ゴミも出ませんし。
でも、このスターバックスの粉コーヒーはバツグンにうまいです。
1本100円もする超高級粉コーヒーですが、対価に見合うインスタントコーヒーだと思います。

ハイキング日記のはずなのに、やたらと長くなってしまいました。
すいませんが続きは来週にお送りさせていただきます。
後半もこれといったアクションシーンがないのは確かですが、どうぞお付き合いください。

本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。

第七十四話『麺』

11/08/29

121854524862116304029.jpgこんにちは、淡海です。
今日はラーメンです。

126157392462716332145_marutairamen_y-2.gifマルタイの棒ラーメン。
登山者以外でこの食品を知っている人はどれだけいるでしょうか?
スーパーなどでもよく売られているインスタントラーメンなんですが、隅っこのほうに追いやられて、ひっそりと並んでいる印象です。

棒ラーメンは昭和34年に誕生し、現在でも販売されていてる長寿商品です。
しかし、チキンラーメンとならぶインスタントラーメンクラシックであるにもかかわらず、一般的な知名度はうすく、食卓にのぼることは稀です。

では、棒ラーメンはなぜ存続しているのか?
それは、多くの登山者やアウトドアズマンに熱烈な棒ラーメンファンがいるからでございます。

味のことは後ほどお話するとして、まずは形状をご覧ください。
そうです、棒です。
これには非常に大きな利点があります。
バッグの中のかさ張りを絶対的に嫌う山歩人にとって、縦長のものは収納しやすいです。
たとえば、どん兵衛を10個バックパックに詰めるとそれだけでパンパンになってしまいますが、棒ラーメンだと10本でもスマートに収まります。
さらに、サッポロ一番の袋麺みたいに横幅が広い形だと、バキバキに割れてしまいがちですが、棒ラーメンはそれを回避できます。
そうです、棒だからです。
とにかく、持ち運びに適したノットバルキーなラーメンは、バッグのスペースと心にゆとりをもたらせてくれます。

味のほうはと申しますと、様々な種類が出ているので一概にはいえませんが、他のインスタントラーメンと比べると、よりラーメン屋で食べるものに近い気がします。
少し小麦粉のにおいが鼻を抜けるといいますか、いわゆるインスタント麺にある"おもちゃのような味"ではなく硬派なラーメンの味です。
ゆえに、自分でアレンジがしやすく、わたしは好んで魚肉ソーセージや、桃屋のメンマ"やわらぎ"を投入します。

もうひとつの利点は、ストレート麺にあります。
そうです、棒だからまっすぐです。
まず、ラーメンは消化がよすぎるため、腹持ちがよくないです。
山では異常なほど狂った食欲になるので、ラーメンだけでは足りません。
食べるときはお米も一緒に食べます。

一般的なインスタントラーメンはブロック状に麺を固めるため、ちぢれ麺になっています。
このちぢれ麺は、その曲がりくねった"ちぢれ部"にスープを絡めて、汁っ気たっぷりでお口まで運んでくれます。
これはこれで、スープの味わいと麺が合わせってすばらしい仕組みなのですが、いざ食べ終わってみると、麺に汁を連れ去られたので、残り汁がほとんどないという状況が多々あります。
これは、困ります。
なぜなら、残り汁にご飯を投入しておじやにしたいからです。
その点、ストレート麺ですと、持ち去る汁を最小限に抑え、麺を食べ終わったあとでもしっかりとご飯が浸るぐらいの汁の量が確保できています。

IMG_0709.jpgせっかくなので、マルタイラーメンを作ります。
アルコールストーブを使いました。

IMG_0718.jpgアルコールストーブの炎は、くねくねと変幻し、淫靡であります。

IMG_0725.jpg沸騰をしたら麺を入れます。

IMG_0729.jpg煮立ったら、火を止めてスープを入れ、ぶつ切りした魚肉ソーセージを放りこんで、ネギを思う存分ぶっかけると完成です。

ズル〜ズルズル〜ッ!
いやっはー、うまいです!

e45e6f3e.gifところで最近、"山の棒ラーメン"なるものが発売したようです。
しじみ450個分相当のオルニチンと、アルギニン、11種類のビタミンを配合。
しじみ450個分相当のオルニチンがどれだけいいのか分かりませんが、山で不足しがちなビタミンを摂取できるのはうれしいです。
しかも麺が10%増量しており、これは山行によるエネルギーの消費を考慮したなんともやさしさを感じるサービスです。
さらに従来の製品はスープと調味油が別になっていたのですが、山の棒ラーメンは、スープと調味油が一包化しています。
これにより、作るときの開封の一手分が省略されて時間の短縮になり、ゴミのかさ張りまで減らせるという、まさに山で食べるために作られたラーメンなのであります。

山歩きが隆盛を極める今日、一般の食品会社から山仕様の食べ物がリリースされるなんて、なんかウキウキします。


本日は以上です。
次回もよろしくお願いします。
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